スカステ『夢の音楽会』は、「憧れの人とデュエットしてみたい」という現役ジェンヌの夢を叶える番組です。
#1・和希そら×安蘭けい
#2・暁千星×柚希礼音
#3・風間柚乃×彩乃かなみ
#4・桜木みなと×姿月あさと
#7・永久輝せあ×春野寿美礼
#8.瑠風輝✕湖月わたる
今回は星組の礼真琴さんが登場し、元星組トップスター北翔海莉さんと共演されました。
『夢の音楽会』礼真琴✕北翔海莉
経歴は真逆のふたり
それにしても面白い組み合わせですね。
礼真琴さんにせよ、北翔海莉さんにせよ、どちらもその時代を代表する歌ウマという共通点はあれど その経歴は真逆なんですから。
生え抜きで若くしてトップに就任し約6年にわたり務めた礼さんに対して、月組→宙組→専科を経て星組でトップになり、高学年ゆえあっさり1年半ほどで退団していったのが北翔さん。
そんなおおふたりが短期間とはいえ同じ時代に同じ組で一緒に存在できたことは奇跡ですね。
しかも礼さんが周囲から『宝塚らしくない』と言われて悩んでいた3番手時代に救世主のように現れたのが、正統派ではあるけれど舞台上では自由奔放な北翔さんだったというから、これまた面白い。
最初に歌ったのは『Amour それは…』より「フロリダの風I(Revolution)~YOUME AMOR(夢・アモール)」。
ハーモニーが合う!なんてもんじゃない。声が一体化しながらも多角的に広がって、10人くらいで歌っているような重厚感。
で、この番組は、けっこうな上級生が憧れの大先輩を前に緊張しまくって下級生感丸出しの様子が微笑ましいのですが、意外なことに、礼さんに緊張した様子はまったくなし。
歌を引っ張るわけでもなく、ついていきます!というスタンスをとるわけでもなく、ただただ北翔さんと一緒に歌うのが楽しくて仕方がないといった感じでニッコニコ。
自然体でリラックスしている礼さんがとっても新鮮でしたね。
そしてトークの内容がこれまた深かった。
トップスターだからこそのトーク
「お忙しいトップ時代、つねにクオリティを保つには?北翔さんは退団公演でもいろいろされてましたけど、どこにそんな時間があったんですか?」と礼さんが驚くくらい、つねに”学び”に行動を起こしていた北翔さん。
ピアノ、サックス、タップに三味線など、舞台にプラスになることだったら何でも習いにいき、退団公演中にも殺陣の稽古に通っていたのは有名な話し。
北翔「失敗したときに後悔したくないのと、1枚の貴重なチケット、たった1回の観劇が誰かの人生を変えるかもしれない。だから公演のために準備できることは何だってやる。開演前10分時間があったらピアノを触っておこうとか、ダンスの振りを確認しようとかね」
続いて歌ったのは『LOVE&DREAM』より「Friend Like Me」。
「誰もやったことのない曲に挑戦したかった」と礼さんが言うだけあって、いったいひとりで何役の声を出しているの?という、これぞ宝塚きっての歌ウマにふさわしい難曲。
そんな超絶むずかしい曲を、おふたりがまぁ楽しそうに歌うこと。しかも小芝居付きでね。笑
組子たちに聴かせてやりたいと礼さんが言っていましたが、いえいえ全世界に聴いてもらいたいくらい素晴らしかったです。
”トップスター”という頂点に立つ者にしか分かりあえないお話も印象的でした。
北翔「この立場って、この立場にしか見えないモノをたくさん見せてもらえたけれど、それと同じだけ、この立場だから味わう辛さやしんどさがあって、だけど涙は人に見られたくないから顔を洗いながら泣いたり…」
北翔さんの言葉をうなずきながら聞く礼さんも6年ものあいだどれほど辛い状況を乗り越えてきたか。
組のだれとも共有できない気持ちを北翔さんと分かりあえたことによって表情が晴れやかになった礼さん。
「本日はありがとうございました。最後まで頑張ります」と明るく締めくくりました。
またいつかどこかでお二人の共演が叶うことを願っています。