スカイ・ステージの人気番組『夢の音楽会』。
現役のスターが憧れのOGをゲストに迎えるこの番組ですが、今回の極美慎さんと月城かなとさんの対談は、まさに「神回」と呼ぶにふさわしい素晴らしい時間でした。
ほぼ初対面?極美慎&月城かなと
ともに『加美乃素本舗』のイメキャラではあるけれど、他に接点がなさそうなこのお二人。
実はほぼ初対面に近く、過去に一度だけ(風間柚乃さん仲介で)写真を撮ったことがあるという程度の距離感だそうです。
それゆえ番組冒頭の空気感はなんとも微妙。持ち前のひょうきんさを全開にして砕けたトーンで場を和ませようとする月城さんと、憧れの先輩を前に一言も聞き漏らすまいとガチガチに緊張しながら真剣に耳を傾ける極美さん。
この温度差に、観ているこちらまでソワソワしてしまいましたが、この「真面目すぎる後輩」を月城さんが鮮やかなアドバイスで導いていく様子には、胸が熱くなりました。
「声が出ない」と泣いたあの日。月城かなとが見た極美慎の素顔
トークの中で特に印象的だったのが、月城さんが星組公演『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観劇された際のエピソードです。
2幕が始まるわずか5分前、極美さんが「声が出ない」と泣きじゃくっている場面に遭遇したという月城さん。
「この子、本番直前だけど大丈夫!?」と心配しつつも、月城さんは「それだけ素直に感情をさらけ出せる良い環境にいるんだな」と思ったそう。
極美さんの繊細さと、それを包み込む星組の絆、そして月城さんの慈愛に満ちた視点が交差する、なんともあたたかいエピソードです。
次の話題は、お二人の共通点である「組替え」という転機について。
「組替え経験を良いものにしなくては!」と語るお二人。異なる場所で自分を磨き、アイデンティティを確立してきた者同士だからこそ通じ合う、静かな連帯感のようなものが画面越しにも伝わってきました。
で、月城さんの言葉に感嘆したのはここからです。
月城かなとが授けた「歌」と「心」の極意
極美さんからの切実な問いに対し、月城さんが授けたアドバイスは、全ての舞台人に通じるような深いものでした。
「月城さんの歌は歌詞の情景が浮かぶ。どうすればそう歌えるのか」という極美さんの質問に対し、月城さんは「声(歌詞)を発してお客様に伝わるまでには時差がある。伝わる瞬間にはもう次の情景を思い浮かべて、先々を見越して歌うようにしている。でも声は自然体に。」と回答。
この高度な表現のロジックに、「開眼」した表情の極美さん。良い顔してましたね。
続いて、「再演物を演じる時の心持ちは?」という問いには、「へぇ、そんな役が私に来るんだ!くらいの軽い感じで受け止めて。先のことまで考えすぎて真剣になりすぎないで」と、肩の力を抜くことの大切さを説いた月城さん。ストイックになりがちな極美さんにとって『エリザベート』という大作を控えたいま、これほど救いになる言葉はなかったはずです。
極美さんが「舞台に立つ月城さんは男にしか見えない」と心酔した様子で語れば、月城さんが「あはは!」と豪快に高笑いする。そんな微笑ましいやり取りに、このステキな関係性がこれからも続くといいな〜なんてファンの独り言です。
新境地を見せたデュエット
歌唱披露では、ダル・レークの恋から『まことの愛』、そしてグレート・ギャツビーから『朝日が昇る前に』をデュエット。
ここで驚かされたのが、卒業後の月城さんの歌声です。男役でもなく、かといってステレオタイプな女性の声でもない。新しい響きは現役時代とはまた違う次元の説得力を持っていました。
そして月城さんも仰っていた通り、極美さんの魅力は何といっても「素直で一生懸命、可愛いところ」。
月城さんからたくさんの金言をもらって、極美さんがこれから舞台人としてどんな輝きを増していくのか楽しみでなりません。
やっぱり『夢の音楽会』は良い番組ですね。今回も、宝塚での「芸の継承」の尊さを噛み締める至福のひとときでした。