『レベッカ』大阪千秋楽!明日海りおの存在感&カテコで有益情報

月組大千秋楽と重なってしまった『レベッカ』梅田芸術劇場千秋楽。瑠皇りあさんの最後の姿を見届けたい気持ちに後ろ髪を引かれつつ劇場へ向かいました。

がしかし、ひとたび幕が上がれば、姿なきタイトルロールが支配する傑作サスペンスに息をのむ観劇となりました。

『レベッカ』総評

上流階級の紳士マキシム(海宝)と結婚し、館「マンダレイ」へやってきた「私(朝月)」。しかし、館は前妻レベッカの影と、彼女を崇拝する家政婦長ダンヴァース夫人(明日海)の冷徹な悪意に支配されていました。やがて死んだレベッカの秘密が明かされるにつれ、運命の歯車が大きく狂ってゆき……。

タイトルである「レベッカ」本人は一度も舞台上に現れません。しかし物語が進むにつれて彼女の歪んだ人物像が鮮明に浮かび上がり、登場人物たちを追い詰めていく構成はまさに秀逸!これぞ名作サスペンスと唸らされる圧倒的な展開で、とくに後半はドキドキの連続。

レベッカの身に一体何が起こったのか、終始ハラハラしながら魅入られる感覚は普通のミュージカルではなかなか味わえない体験でした。そしてラストにくっきりと浮かび上がる真相と、見事すぎる伏線回収に大満足!ほんと、よく出来た話です。

ただ、この手のサスペンス作品の宿命か、「一度見たら満足してしまう」感覚があったのも正直なところ。まあそもそも全日程完売なので追加チケットなんて手に入りませんが!笑。

キャスト感想

マキシムを演じた海宝直人さんは、とにかく歌唱力が圧倒的!幾重にも響くロングトーンには鳥肌が立ちました。仕立ての良いスーツを完璧に着こなす佇まいは上流階級の紳士そのもの。前半の甘いラブパートから一転、常に何かに怯え、苛立ちを隠せない神経質な挙動のリアルさが実に見事でした。長期間の公演ゆえのペース配分があからさまに見える部分もありつつ、芝居の緩急の付け方は流石プロの技。

そしてヒロインの「私」を演じた朝月希和(96期)さん。宝塚時代の可憐で清楚な娘役のお手本のような立ち居振る舞いを残しつつ、歌声は現役当時より力強くなった印象。貧しく純朴な女性が事件の真相を知り、愛する夫を守るために強い妻へと覚醒していくグラデーション。緻密な芝居構築は流石でした。

さらにマキシムの姉を演じた彩乃かなみ(81期)さんのエレガントな身のこなしには見惚れるばかり。弟を深く愛し、その新妻にも温かい配慮を欠かさない優しさが溢れ出ていて、あらためて私は彩乃さんの現役当時から変わらないあたたかなお芝居が好きだなと。

明日海りお・配役の難しさ

個性的なキャストが勢揃いし、聴き応えのあるナンバーも多く、どのシーンも引き込まれたのは間違いありません。しかし同時に、この作品が抱える特有のパワーバランスゆえ、考えさせられたことも。

カテコでは3人(海宝、朝月、明日海)が並びますが、トリプル主演ではありません。主役はマキシム。でも実質、物語はヒロイン「私」の成長記です。そしてそのスパイスに、前妻を崇拝し「私」を排除しようと画策するダンヴァース夫人の存在があるという。

そう、ダンヴァース夫人は有名な大ナンバーがあるとはいえ、レベッカの死に関与しているキーパーソンでもなければ、一存で「私」を排除できるような力も持っていない、ただの家政婦長なんですよね。

私が観た回で、そのダンヴァース夫人を演じたのが明日海りお(89期)さんでした。

真っ黒のドレス姿で圧倒的なオーラを放ち、声量も大劇場級。有名な大ナンバーを力強く歌いあげ素晴らしかったです。

全てを食ってしまう明日海さんだけに、舞台上のパワーバランスがどこか不思議なことになっていたのは否めません。

他の共演者が弱いとかそういう意味ではなく、やはり彼女は根っからの『真ん中』の人なんですよね。

劇場全体が彼女の登場を待ちわびる、あの期待感!大ナンバーが終わったあとの大拍手。彼女が中心に回っているような熱気は凄まじいものがありました。

カテコで有益情報

本編の重厚なサスペンスとは一転、カーテンコールは和やかな雰囲気。

海宝さんのご挨拶の中で「劇場向かいのロフトの跡地にニトリが入る」というローカルネタが飛び出し客席は大ウケ。で、朝月さんがニトリを「ミドリ?」と勘違いしたもんだから、収集つかずチグハグ。笑

そして何回目かのカテコ登場時に、明日海さんが黒ドレスの裾を踏んでしまい、躓きかけるというハプニングが!

客席からは「きゃっ!」と大きなどよめきが上がりましたが、そこは流石の身こなしで持ちこたえ、無事に笑顔を見せてくれました。怪我がなくて本当に良かったです。

役者陣の個性がぶつかり合い、OGたちの進化を見せつけられた『レベッカ』。観に行けて本当に良かったと思える見応え抜群の公演でした。

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